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  4. 多摩美術大学様 洋雑誌の外部保管とコスト最適化への取り組み

多摩美術大学様は2019年8月から寺田倉庫をご利用いただいているお客様です。今回は出納頻度の低い洋雑誌と紀要を外部保管対象に選定し、図書館内の保管スペース確保とランニングコストの最適化を行った事例のご紹介です。導入の経緯や詳しい効果について、多摩美術大学 図書館事務室 課長 森 由幾子氏、同室 主任 兼 総務部総務課 主任 生野 諭氏にお話を伺いました。

導入の経緯

2007年に完成した当校の図書館は、我が国を代表する建築家のひとりで本学環境デザイン学科客員教授、伊東 豊雄氏の設計によるものです。正門から続く緩やかなスロープをそのまま建物内にまで引き込み、アーチ構造を主体としたガラスとコンクリート壁面が一体化した外観を持つ斬新かつアバンギャルドなスタイルは、キャンパス周辺の自然環境を積極的に取り込んだ開放的な空間をつくりあげています。

和書約13万冊・洋書約7万冊の合計約20万冊の書籍と約2,300タイトルの雑誌(2018年5月現在)からなる蔵書は、専門分野である美術・デザイン・建築などの分野を中心に、授業で必要となる基本文献から専門的な研究資料まで幅広い構成となっています。特に海外で開催される展覧会のカタログおよび個人アーティストの作品目録(カタログ・レゾネ)の充実に力を入れています。

これまで可能な限り除籍を行い書架のマネジメントを行ってきましたが、これ以上のスペース確保は難しい状況になってきました。外部に保管できる場所を探していたところ、2018年11月の図書館総合展のセミナーで寺田倉庫の話を伺う機会がありました。そこで我々が求める倉庫利用イメージと合致したため、寺田倉庫の図書館ソリューションを利用することにしました。

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特徴的なアーチの構造について森課長よりレクチャーをうける
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蔵書はグラフィカルなものが多く大型の書籍が多い印象を受けた

導入前の課題

― ソリューション導入前の状況について教えてください

図書館資料は毎月増え続けていきます。特に当館で収蔵している雑誌は、国内外の貴重な芸術系・文化系専門雑誌が大半のため、古くなったからといって簡単に処分することはできません。そのため、常にスペースの確保に追われることになります。それまで可能な限り除籍を行い蔵書の管理を行っていましたが、これ以上は処分できないというところまで来ていました。学内の建物で書庫として利用できそうな場所もなく、最終的に外部の倉庫会社を検討しようということになりました。

現在の図書館が建つ前は、蔵書の一部を別の倉庫会社に預けていたことがあります。ただその会社のサービスは保管のみだったため、出納停止で利活用ができない状態になっていました。その経験があり、セミナーで寺田倉庫の話を聞いたときに倉庫利用イメージが大きく変わりました。

導入時の工夫

― ソリューション導入に際し、工夫された点はありますか

1. 対象選定とコスト最適化

出納が発生した際のオペレーションのコストを最小限に抑えるために、出し入れが少ないと思われる洋雑誌と紀要を寺田倉庫に預けることにしました。一冊単位で管理ができる便利なプランもありましたが、寺田倉庫と相談し、より保管コストが安い箱単位で管理するプランを採用。箱の中身は別途リストを作成し、管理するようにしました。出納頻度にあわせて管理プランを選択することで、コストの最適化をはかりました。

2. 学校への説明と予算取得

図書館側で「かなりの除籍を行って、これ以上は捨てられない」というところまで蔵書を厳選していた点に加え、預けるべき本の精査を行い無駄なコストをかけないようにしたことで、資料の外部保管に対し学校側の十分な理解を得ることができました。

3.リスト作成作業で棚卸も同時に実現

預けた洋雑誌は旧図書館から引っ越してきたときのままだったため、所蔵データと実物が合致しないものもありましたが、蔵書点検する時間的余裕がありませんでした。倉庫に預けるという目的がなければ、これまで未着手だった雑誌の棚卸はできないままだったでしょう。預け入れリストの作成をきっかけに、リストをチェックする作業が棚卸になるという、結果的に効率的な作業を実現できました。

導入効果について

― ソリューションを実際にご利用してみていかでしょうか

1.スペースの問題を解消

寺田倉庫に入庫した洋雑誌は約450箱、追加で紀要も約100箱ほどです。A4サイズ段ボール約550箱のスペースが空いたため、だいぶスッキリしました。図書館運営上は書架が100%埋まっているのは好ましくなく、新規の本の受け入れがある程度できる状態が理想です。今回の外部倉庫利用で理想の状態に近づけることができたと思います。

2.取寄せもスムーズ

「全部出さないと中身が分からない」「リストと中身が違う」となると、戻したときに大変ですから、リスト作成と箱詰めは慎重に行いました。その甲斐もあり、学生から倉庫内に保管される雑誌の貸し出しリクエストがあった際、寺田倉庫の出納システム(文書管理システム)である「eTRUNK」を利用し、リクエストの雑誌が入っている箱をスムーズに取り寄せることができています。

3.保管中も安心

利用する前に一度、寺田倉庫の施設を見学させていただきました。本に最適な温湿度管理と高度なセキュリティ環境が構築されていましたので、安心して預けられています。

寺田倉庫と他社との比較や業者選定のポイント

― 寺田倉庫以外のベンダーを検討したことはありましたか

個人の書籍を預かるサービスはあっても、法人のオフィシャルなものや大量のニーズに対応できるところは意外と少なかったですね。最終的には書籍保管対応と出納システムを設けている寺田倉庫ともう1社で比較検討しました。

どちらも良いサービスで、最後はコストでの比較となりました。寺田倉庫を選定した決め手は、月々のランニングコストが安価だったことです。中長期的に預けることに加え、出し入れや運搬にかかるコストはその都度発生するため、寺田倉庫のサービスは魅力でした。

― 倉庫の活用において、今後の展開があればお聞かせください

上野毛キャンパスにある図書館は道路の拡張拡幅にともない、近々に取り壊される予定です。寺田倉庫では複数キャンパスにまたがる蔵書管理の実績もあるそうですので、八王子図書館と合わせて保管を検討しています。

― 寺田倉庫を利用する先行ユーザーとして、倉庫活用のアドバイスなどをお願いします

どこの大学でも今後クローズアップされる課題として、退職される先生方からの蔵書寄贈があります。大学の予算で購入した書籍はもちろん大学に返却する必要がありますし、個人で購入した書籍であっても自宅に持ち帰るのは困難で、結局は図書館に寄贈となる場合が多くなると思います。

多摩美術大学は実技の学校のため、実は先生方からの蔵書寄贈はそれほど多くはありません。それでも予定外のスペースをどう確保するか頭を悩ませています。いつでも保管スペースを確保できるように、書籍保管対応の倉庫会社との打ち合わせは早めに始めておいた方が得策かもしれません。

― 寺田倉庫に対する今後の期待をお願いします

我々はもちろんですが、どの大学でも図書館のスペース活用は深刻な課題だと思います。しかも大切な書籍ですから、温湿度管理やセキュリティには十分な配慮が必要です。今回ご協力いただいた寺田倉庫は、図書館ソリューションとして初回の引き取りから保管、取り出しまでサービスが体系化されており、我々も安心してお任せすることができました。OPACとも連動できるオプションサービスがあるようですので、大学によっては大きな効率化が図れるのではないでしょうか。今後もいろいろとご相談することがあるかと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

参考:多摩美術大学 八王子図書館紹介動画

お客様プロフィール

名称 学校法人多摩美術大学
創立 1953(昭和10)年
業種 大学
学生数 4421名(2019年5月1日現在)
ホームページ http://www.tamabi.ac.jp/

1935年「帝国美術学校」として創設され、1953年に現行の4年制大学として「多摩美術大学」設置が認可された。大学の理念は「自由と意力」で、自らが持つ創造性について芸術を通じ実現したいと考えている人を世界から幅広く、積極的に受け入れている。八王子キャンパスには絵画、彫刻、工芸のほか、グラフィックやプロダクトなどデザインの各分野を専門的に学べる学科が、上野毛キャンパスにはデザインを横断的に学べる統合デザイン、舞台製作や劇場美術を学ぶ演劇舞踊デザインといった学科が設置されている。2020年からは日本初の「デザイン経営」人材育成のための講座 「TCL-多摩美術大学クリエイティブリーダーシップ プログラム」を開講予定。

※事例に記載された学校名・部署名等の情報は取材当時のものです。閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。

取材:2019年12月

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