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  4. 学校法人桃山学院様 永年保存文書の電子化による業務改善と他部門への利用拡大事例

学校法人桃山学院様は2018年3月から寺田倉庫の関西支店でスキャニング・入力代行サービス(以下、「電子化サービス」と表記)をご利用いただいているお客様です。増え続ける重要文書により、保管スペースと文書管理に課題を抱えていることをお聞きし、重要文書の電子化サービスと電子化後の文書保管サービスをトータルでご提案しました。今回は、利用に至った経緯や電子化・文書保管サービスによって得られた効果、文書主管部門として組織全体の文書管理を改善していくためのヒントについて、学校法人桃山学院 総務部 部長 原 徹氏(写真右)、総務部 総務課 課長補佐 雑賀 敦氏(写真左)、総務部 総務課 尾崎 博久氏(写真中央)にお話を伺いました。

サービス利用の経緯

― 電子化サービスを利用しようと考えた経緯について教えてください。

総務課、経営企画課、施設・管財課、財務課を擁する総務部の中で、我々、総務課が主管する業務のひとつに重要文書の管理があります。重要文書の中で総務課が直接管理するのは、昭和30年代から現在に至るまでの理事会・評議員会決議録、登記・諸届、寄付行為変更認可申請書などです。

重要文書は、桃山学院文書保存規程で永久保存に区分されるものもあり、保存し続けなければならない文書が多くあります。その分量についても、理事会・評議員会の関連文書を例にすると、平均的な添付資料が50枚前後、議事録も20枚前後におよびます。会議は年間30~40回前後が行われますから、この文書だけでも一年間で膨大な量になります。近年、これらの重要文書を保管するためのスペース確保が難しい状況になりつつありました。

また、こうした重要文書には、永久保存だけでなく、5年保存、10年保存といったものもあります。これらの管理、とくに、保存年限に応じた廃棄の管理が、日々の業務に追われて後回しになりがちで、どのように適正な文書管理を維持していくのか、課題を抱えている状態でもありました。

2019年度に学院創立135周年を迎えた本学の長い歴史の中で、様々な重要文書が保存され、年々増え続けていく状況に対して、保管スペースや、重要文書管理に費やす労力・時間の確保が課題となってきたことがサービス利用を検討するきっかけになりました。

寺田倉庫を選んだ理由と業者選定のポイント

― 数あるサービスやベンダーの中から、寺田倉庫のサービスを選んだ理由を教えてください。 

1. 文書管理全般へのトータル提案

寺田倉庫を含め、いくつかのサービス・ベンダーを比較・検討しました。金額的にも大きいので、学内規程に基づいた見積も取り、コスト面での比較・検討も行う必要がありました。その中で、寺田倉庫を選定した理由のひとつは、文書管理全体についてトータルでの提案であったことです。スキャンニングや文書保管など、個別でのサービス提案が多かった中で、スキャニングだけでなく、スキャニングした後の文書保管までをトータルでカバーしていたのは寺田倉庫だけでした。

2. 保管環境、セキュリティー、作業品質の高さ

また、学院内の重要文書の取り扱いをお任せするということで、費用面だけでなく、信頼できる会社を選定したいとも考えていました。その中で、寺田倉庫は、文書の保管環境やセキュリティーレベルが他社より高いと判断できたこと、電子化作業に関する実績やクオリティー、柔軟な対応が期待できたことも評価した点です。本学の情報支援室と、すでに取引実績があったことも、委託先として信頼できる会社である、という評価ポイントのひとつとなりました。

利用サービスについて

― 寺田倉庫の電子化サービスはどのように進めていったのでしょうか。

 総務課が文書保存主管課であることもあり、まずは総務課保存文書をテストケースとして電子化の検討を始めました。まず、電子化対象の文書量、製本状況、文書状態などを調査・検証してもらい、結果、10万ページを想定した見積書を提示していただきました。総務課保存分だけで、書棚(前後に2列に詰めた状態)で3~4台分(段ボール換算で71箱分)はありました。その後、電子化の仕様を仕様書に定め、2018年3月に合意し、翌4月から実際の作業がスタートしました。

その後、同年12月に総務課の追加分発注、2019年3月には、財務課、経営企画課、学院史料室、教務課の追加分発注も行いました。作業完了後、電子化データはDVDで納品いただき、そのデータは本学のサーバーにアップすることで、いつでも参照できる仕組みを構築しました。電子化後の文書は、監査対応に必要な一部の文書を除き、寺田倉庫で保管していただいています。

※参考 作業フロー図。

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寺田倉庫の対応とその評価

― 今回の電子化サービスにおける寺田倉庫の対応と、それについての率直な評価をお聞かせください。

1. 隅々まで行き届いたワンストップサービス

仕様書作成から始まって、文書引き取り、文書整理、電子化、電子化後の文書の体系づくり、倉庫保管リスト作成、現物保管に至るまで、すべて寺田倉庫にワンストップで進めていただきました。寺田倉庫との間で仕様をきちっと定めた後は、我々がタッチするようなところはほとんどなく、学内業務に注力することができました。

2. 書類の特性に応じた細やかな対応

作業を進めていく中で、昭和に遡る古い文書は最初に定めた仕様書と異なることが判明するケースもありました。我々が過去のファイルリングルールを把握していなかったことでご迷惑をおかけしてしまいましたが、仕様書で判断できない場合はその都度問い合わせをいただき、再度、サンプルを作成のうえ、仕様書を改定・修正をしながら丁寧に作業していただきました。また、電子化する文書は文科省への申請書、教職員履歴書など多岐に渡りましたが、それに対しても種類ごとに、ファイル名リストを作成したり、フォルダに整理するといった対応をしていただきました。その都度仕様書を作成し、遺漏がないように実施いただいたと評価しています。文書名で判断できないものは、作業員の方が文書を読んで分類分けを行うなどかなり苦労されたようで、我々としては心苦しいところが多々あります。そういう意味では、寺田倉庫のワンストップサービスには本当に助かりましたし、寺田倉庫にお願いして良かったというのが実感です。

3. 予算に合わせた、顧客目線での提案

費用が高くなりがちな繁忙期を避けて作業を実施するなど、本学の限られた予算を考慮し、費用の抑制にも配慮いただきました。

4. 現在だけでなく、将来の活用も考慮した多彩な選択肢

紙質や紙の状態、サイズなど必ずしも統一された形ではなかった文書でしたが、十分満足できる状態で電子化いただけました。しかも、電子化する文書によってスキャニングの質を選択でき、卒業アルバムなど今後、活用していく際に汎用度が高くなるよう、データの保存形式の変更などにも柔軟に対応いただきました。

サービス利用による効果について

― 電子化サービス利用後の効果についてお聞かせいただけますか。

1. 検索性の大幅な向上

以前までは、前後2列の書棚からファイルリングされている文書を取り出して閲覧していました。なかなか見つからないときは、とにかく出し入れが手間でした。電子化された現在は、パソコンの画面から容易に検索することができます。

しかも、単にPDF化するだけでなく、必要に応じて個別資料ごとにファイル名リストを作成し、書類種別ごとにフォルダ整理を実施しています。また、エクセルでリスト化されており、ハイパーリンクの機能を利用し、クリック一つで該当のファイルを表示させることができます。併せてOCRソフトによる文字データへの変換なども行っていますから、すぐに目的の文書が見つかります。間違いなく、業務効率は飛躍的に向上しました。

2. 保管スペースの有効活用

電子化した文書の現物は寺田倉庫の倉庫に保管していますから、学院内の文書保管スペースには余裕が生まれました。今後は空いたスペースを有効活用できると考えています。

3. 他部門への拡大の実施

検索性やスペースの有効活用などの効果を確認後、総務課だけでなく、財務課、経営企画課、学院史料室、教務課が主管する文書もお願いしました。もともと保管スペースは学院内全体の問題だっただけに、他部門にもこの取り組みを広げることができたのは大きな効果だと実感しています。

4. 部門単位での運用効率化の実現

文書の主管部門は複数ありますが、寺田倉庫のWeb管理システムは主管部門ごとに文書管理ができます。主管部門ごとに配送手配など各種依頼ができるので、今回のプロジェクトを取りまとめている総務課は、電子化作業以降は関わる必要がありません。桃山学院文書保存規程など学院内のルールに従いながら、それぞれの主管部門が主体となって、効率的な運用を行っています。

文書管理改善へのアドバイス

― 文書主管部門として、組織全体の電子化や文書の外部保管を推進していくためのアドバイスなどがあればお願いします。

文書の主管部門として、電子化や外部保管を他部門へ拡大していくにあたり、「イメージが湧かない」「大変な作業があるのでは」ということで躊躇する部門がでてくるのではと想定していました。どの部門も忙しく、今までやってこなかったことに対して、抵抗感があるのが普通だろうと考えていました。

そこで、まず主管部門である総務課だけのテストケースで成功事例を作るのがポイントだと考えました。今回のテストケースにより我々の中で経験を蓄積し、その経験をもとに、他部門に対してアドバイスすることができました。また、寺田倉庫が書棚の文書をダンボールに詰める引き取りのシーン、倉庫での仕分け作業シーン、スキャニングシーンなど、各作業風景を撮影し、具体的にどのような作業が行われることになるのか、文字や言葉だけでなく、視覚的にも分かりやすい資料を作成しました。作業面だけでなく、作業完了後の運用についてもイメージしやすいように、どのような形で電子化データが納品されるのか、電子化データの検索はどのようにすればよいのか、についても資料にしました。各部門の管理職が集まる管理職会では、それらの資料を見せながら詳細な説明を行い、不安感、抵抗感を取り除くことができ、実際に他部門へ拡大することができました。

そもそも、保管スペース、検索時間など、文書関連で抱えている問題は各部門共通しています。ですから、電子化のフローや、作業完了後の運用イメージを「見える化」し、しっかり理解してもらうのが大事だと思います。

※参考 他部門への説明資料の一部

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キャビネットから文書を取り出し、箱詰めして、スキャンセンターへ送る一連の作業の流れがイメージできる。
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データの納品方法と納品データ内から必要な資料を検索する方法が簡潔にまとめられている。

今後の展開について

― 今後の展開をお聞かせください。 

総務課は文書保存の主管部門ということもあり、まずは総務課の重要文書をテストケースとして電子化を進めました。その後、電子化を他部門へ拡大できたことにより、さまざまな応用も可能になると考えています。

電子化を進めておけば、例えば「卒業アルバムを同窓会誌などに利用する」、「卒業生がコンビニエンスストアで成績証明書を入手できるようにする」といったことにも活用できると思っています。

また、学内にはまだまだ永久保存の文書があります。さらに5年保存、10年保存年限などの電子化も検討しなければなりません。総務課としては学院内の文書管理最適化のため、引き続き、土台づくりを推進していくことになるでしょう。

さらに、最近の会議では、タブレットを使用するようになりました。これにより、紙での資料配布が少なくなっています。会議だけでなく、コロナの影響もあって授業のWeb化も進んでいます、こうした状況を鑑みると、文書に限らず、デジタルを主体にした管理方法に目を向け、サーバーの構築や運用・保守、セキュリティーの強化などを早々に検討する必要があると思っています。デジタル化の推進にあたり、寺田倉庫のさらなる協力が必要になることがあるかもしれません。

― 寺田倉庫に対する今後の期待をお願いします

 トップダウンで決定しても、実現できなければ意味がありませんから、本学では現場担当者の意見を尊重しています。今後も担当者のニーズに応えていただくような提案をしてほしいですね。

寺田倉庫は倉庫だけでなく、さまざまなサービスを提供されているようですので興味が尽きません。我々としては、引き続き、重要文書保管を中心として、寺田倉庫のサービスを活用したいと考えていますので、文書保管について、さらなるサービスレベルの向上に期待しています。今後もご支援のほど、よろしくお願いします。

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今回はリモート環境で取材にお答えいただきました。

お客様プロフィール

 

名称 学校法人桃山学院大学
創立 1884(明治17)年
業種 教育機関
所在地

大阪府和泉市まなび野1-1

ホームページ https://www.andrew.ac.jp/gakuin/

1884(明治17)年、英国聖公会宣教協会が川口外国人居留地(大阪市西区)に創設した三一小学校(男子英学校)を起源とする学校法人で、2019年度には学院創立135周年・桃山学院大学開学60周年を迎えた。現在は、昭和町キャンパス(大阪市阿倍野区)に桃山学院中学校高等学校を、和泉キャンパス(大阪府和泉市)に桃山学院大学・大学院を設置し、2018年4月には、学院2つ目の大学として桃山学院教育大学を堺キャンパス(堺市南区)に開設した。
2019年4月には、桃山学院大学ビジネスデザイン学科を増設。最新のリーダーシップ教育および企業人と学生が共に協力し合って学ぶ新しいPBL(課題解決型学習)授業を導入する等、関西では前例のない特色を備えた教育課程を編成している。同学科については、2020 年8月に、9階建ての新校舎であるあべのBDL(大阪市阿倍野区)へ移転予定で、2021年4月にはビジネスデザイン学部に改組予定(申請中)である。

※事例に記載された学校名・部署名等の情報は取材当時のものです。閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。

取材:2020年6月(リモート取材)

TERRADAの
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