1. HOME
  2. LEARNING
  3. 電子化
  4. ノウハウ
  5. e文書法と電子帳簿保存法の違いと電子化時の注意点

このページでわかること

e-文書法と電子帳簿保存法の違いをご存意でしょうか。
いざ文書を電子化する際に困ったことならないよう、その違いを簡単にご説明いたします。

e-文書法とは

従来、紙ベースで保存していた文書の電子化を認めた法律です。
2005年に施行された法律で、2つの法律から構成されています。

  1. 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(通則法)
  2. 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)

この2つをあわせて通称「e-文書法」と読んでいます。

通則法は、従来紙での保存が義務付けられていた文書の電子保存を容認する総則的な法律です。
書面の保存義務については、法人税法や会社法といった個別の法律で定められていますが、それらを個々に改正したものと同様の意味をもっています。

整備法は、通則法では補えない例外など、個々に改正が必要な法律に対して対応する法律です。後述する電子帳簿保存法も整備法の施行をうけて改正された法律です。

 

e-文書法の対象書類と技術要件

対象書類

電子化容認の対象法律は約250本にも及び、民間企業で保存しているほとんどの書類の電子保存が認められています。電子化ニーズの高い、契約書、請求書、注文書などの国税関係書類や、建築関係の図面、医療分野のカルテなどもこの対象となっています。

一方、電子保存ができない文書についても通則法内で記載があります。以下の文書は注意が必要です。

  • 緊急時に即座に見読可能な状態にする必要があるもの
    (例)安全のため船舶に備え付けるべき手引書 など
  • 現物性が極めて高いもの
    許可証、免許証 など
  • 条約による制約があるもの

技術要件

対象文書を電子化しようとしたとき、それぞれ満たさなければならない要件があります。「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」の4つの技術要件が定められています。

意外な点ですが、この4つをすべて満たさなければならないわけではなく、e-文書法の対象となる規程や書類によって、要件が異なります。

例えば、見読性のみを満たせばよい書類、見読性・完全性・検索性の3つを満たさなければならない書類があります。

電子保存可能なリストと対応する技術要件は内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室の「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」に記載がありますので、ご紹介いたします。なおご利用に際しては、内閣官房から以下のコメントが出されておりますので、引用致します。

<各府省が定める省令について>
 本法(e-文書法)の適用を受けて、書面による保存等に代えて電磁的記録による保存等を行うことができるもの、また、電磁的記録で保存を行う際の要件等については各府省の府省令で定められており、内閣官房IT担当室において以下のように把握しております。ご参照ください。

注1:詳細については、各府省にお問合せください。
注2:本一覧表はe-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定の一覧です。
 法令で書面(紙)に限定しない媒体での保存も容認しているもの、本法の適用を受けずに個別法令の改正により 書面(紙)の保存に代えて電磁的記録による保存を容認しているものもありますが、これらは上記の一覧表には含まれておらず、上記の一覧表は電磁的記録で保存が容認される規定一覧とはなっていませんので、ご注意ください。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、1998年に施行された「国税関係帳簿書類の全部または一部を電子データにて保存すること」を認めた法律です。

とはいえ、制定当時はあくまで対象はシステム上で電子データとして作成されたデータの保存となっており、紙のデータをスキャンして保存することは含んでいませんでした。

2005年にe-文書法が制定されたのを受けて改正され、決算関係書類を除く国税関係書類について、新たにスキャナよる電子化保存が認められ、新たに規定が追加されました。

対象書類

e-文書法が約250の法令にまたがる広範囲の文書が対象だったのに対し、電子帳簿保存法は国税に関係する帳簿や書類を対象としています。
総勘定元帳や仕訳帳といった帳簿類、貸借対照表や損益計算書などの決算関係の書類、納品書や請求書といった取引関係の書類に加え、電子契約などの電子取引で授受した書類について保存要件を定めています。

技術要件

保存に関する技術要件は保存対象の書類が何かや、自社で作成したものか相手先から受領したものをスキャナなどで読み取って保存するのか、授受方法は紙か電子かなどによって要件が異なります。

以下の5つの軸をもとに、対象書類や電子化方法、授受方法等によってそれぞれの要件の中でも、細かな要求事項が異なるため注意が必要です。

要件1 訂正・削除履歴の確保
要件2 相互関連性の確保
要件3 関係書類等の備付け
要件4 見読可能性の確保
要件5 検索機能の確保

電子化要件に関する注意点

文書によっては複数の法令で保存義務が課せられています。この場合、法令によって法令によって保存要件が異なることがあります。
「損益計算書」を例にとると、会社法と電子帳簿保存法でそれぞれ保存の規定があります。

会社法の観点では、見読性のみの要件を満たせば電子保存を容認となる一方、電子帳簿保存法の観点では、最初からコンピュータで作成された電子データでの保存のみ容認となります。さらに、電子帳簿保存法上では「損益計算書」をスキャナ等で電子化した場合の保存は容認されていません。

このように、同じ文書でも法令によって要件が異なる場合には、より厳しい要件に合わせて保存を検討していく必要があります。

電子化を行う際には、必ず、保存を規定する法令等が他にないか確認しましょう。

TERRADAの
トータルソリューション
サービスを組み合わせることで、
お客様の求める「変化」を実現し、
業務の効率化や新しい働き方をサポートします。
Media_Couve_compressed
STORAGE
shutterstock_130139699_compressed
IT
014_012
CULTURE