BCP対策としての磁気媒体保管
増え続けるデータの保管をどうするか
日々、企業で発生する情報資産には、紙の形式で発生するもの(文書・書類)もあれば、デジタルデータのように、サーバに蓄積され、各種媒体・メディア(LTO、HDD、DVDなど)に記録されていくものもあります。
災害や、盗難・紛失などセキュリティリスクを考えると、機密情報保管のための専用設備やノウハウを持つ外部の倉庫会社へ預けるのがよいのは、どの情報資産にも言えることですが、とりわけ、デジタルデータの保管は、文書・書類と比べ、データ量・情報量が圧倒的に多く、また、経理情報、経営情報など事業の継続にとって非常に重要な情報が日々、更新・蓄積されていきます。
そのような事業の継続に不可欠な情報の保管・保存の方法が、『磁気媒体(テープ)保管』になります。
磁気媒体保管とは
磁気媒体保管ですが、概略としては、次のようになります。
『日々、蓄積するデータをサーバーから磁気記録媒体(LTOなど磁気テープ媒体)にデータを移し換え(バックアップ)て、外部の倉庫会社へ保管する。いざ、災害やシステム障害などによりデータ復旧が必要となった場合、外部倉庫から磁気媒体を取り寄せ、データ復旧を実施する。』
これが概略ですが、ここで着目すべき点が2つあります。
1つ目は、LTOなどのテープ媒体に移しかえて保管することにメリットがある点です。
具体的には、
- テープというオフライン環境下での保管となるため、停電、ウイルス攻撃など、データ消失のリスクを低減できるとともに、電力消費が読み書き時のみで低消費である
- HDDなどディスクでの保管と比べ、容量あたりの単価が安い
- 温湿度など適切な環境下であれば、約30年もの耐久性があり、長期保存性に優れている
などが挙げられます。
2つ目が、磁気媒体保管の目的、つまり「災害やシステム障害など事業の継続に支障をきたした際の備え(事業継続・BCP対策)」であることです。
BCP対策として重要な4つのポイント
1.データを移し換えて外部倉庫へ保管する周期
蓄積・更新頻度にあわせて、常に最新の状態のものをバックアップするのが一般的です。日次、週次、月次、年次など定期的に実施し、外部倉庫へもそれに合わせて預け入れることになります。外部倉庫が提供する集荷・配送手段がその周期に対応している必要があります。
2.倉庫設備
倉庫が堅牢な建物であることは当然ですが、磁気媒体という記録媒体の特性上、温湿度管理ができる環境であることも重要です。できるだけ安定した温度、湿度環境下で保管することで記録媒体の劣化を抑え、いざというときの利用に備えるべきです。
3.外部倉庫の立地
いくら堅牢な建物とはいえ、大規模災害となった場合、さまざまな影響が考えられます。倉庫建物そのものは被害がなくても、近隣の道路が使用できないような状態となれば、磁気媒体の取り出しができなくなります。倉庫の周辺環境や、倉庫が立地する自治体の災害想定(ハザードマップ)や対策も検討する必要があります。
4.外部倉庫との距離
外部倉庫に保管しても、お客様の拠点と倉庫が同時に被災してしまうような近距離にあった場合、バックアップの目的が失われることになります。やはり、同時被災を避けられるような遠距離に保管すべきです。たとえば、東京に拠点があれば、大阪などが候補となります。ただし、遠距離だけに注目してしまうと、日々のバックアップの輸送コストが上昇したり、災害後のデータ復旧時の輸送が長距離となり、支障がでること想定されます。同時被災を防ぎつつ、ランニングコストや非常時の対応を考えると、同時被災を避けられる距離にある交通網が充実した都市近郊の倉庫に保管するのがよいと思います。
まとめ
今回は、磁気媒体という物理的な手段による保管をご説明しました。近年、物理的な磁気媒体保管以外に、クラウド上でのバックアップのサービス提供も増えていますが、コスト面や、運用面等を考えると、現在、絶対的な手段・方法がないのが実情です。したがって、保存の方法については、クラウドサービスだけでなく、物理媒体での保存まできちんとスコープを広げたうえで、サービスを選定していくことが重要です。
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