寺田倉庫、2021年12月10日(金)より 「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」を開催

ファイナリスト5組が未発表の新作を含む作品を発表

寺⽥倉庫株式会社(東京都品川区 代表取締役社長:寺田航平)は、2021年12月10日(金)~12月23日(木)の期間、当社イベントスペースで「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」を開催します。2021年10月18日(月)より、入場予約の受付を開始します。

「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」では、倉庫をリノベーションした、無機質でありながら何色にも染まりアーティストの世界観・才能を開花させる空間を舞台に、ファイナリスト5組が「TERRADA ART AWARD 2021」へエントリーした展示プランによって独自の展示を創り上げ、未発表の新作を含む作品を発表します。会期初日には、最終審査員の片岡真実氏、金島隆弘氏、寺瀬由紀氏、真鍋大度氏、鷲田めるろ氏からファイナリストへ授与する各審査員賞が発表されます。また会期中には一般投票が実施され、オーディエンス賞も決定いたします。

「TERRADA ART AWARD 2021」は、新進アーティストの支援を目的とした現代アートアウォードです。世界のアートシーンでプレゼンスを発揮できる才能を見出すため、国際的な舞台で活躍し現代アートに深い見識を持つ審査員による選考が行われ、その結果、国内外1,346組の応募の中から5組のファイナリストが選出されました。当社は本アウォードの開催を通じて、いつの時代にも存在する「一握りの天才」を⾒出し、受賞者がアーティストとして世界に羽ばたくまでのキャリアを全力で支援・育成し、日本の現代アートの価値を未来へ継承してまいります。

「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」における各アーティストの展示プランおよび二次選考を終えた最終審査員からのコメントは以下をご覧ください。

【開催概要】

展覧会名:TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展
会   期:2021年12 月10日(金)~2021年12月23日(木)
会   場:寺田倉庫 G3-6F(〒140-0002東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号)
開館時間:11:00~19:00(最終入館 18:30)
入場料:無料 ※日時指定予約制
アクセス:東京モノレール羽田空港線天王洲アイル駅中央口 徒歩5分、東京臨海高速鉄道りんかい線天王洲アイル駅B出口 徒歩4分
入場予約:https://www.terradaartaward.com/finalist

【ファイナリスト展示プランについて】(五十音順・敬称略)

川内理香子(かわうち りかこ)

身体のありどころはどこだろうか。
コロナウイルスによって、自身の身体や、自分が保有するものへの意識、その境目の曖昧さが顕著になった。今、神話の世界のように、内と外、自己と他者の境は複雑で入り混じってしまうものということを突きつけられていると思う。
今回の展示では、内と外の境目のなさが暗喩される神話をモチーフにした、自然と動物、身体が入り混じる世界を描いた油彩のペインティングとともに、針金の半立体、ネオン管の彫刻を制作し、様々な線のあり方を一堂に展示する。それらが互いに響き合い、重なり合うことで、ネオン管の光の脈動のように、それぞれの線が常に動き続けているようなイメージを感覚できる展示にしたいと考えている。多様な線の中に1つの身体を見せたい。

久保ガエタン(くぼ がえたん)

ここ(会場)がまだ海の中だった頃。一人の漁師が光り輝く面を引き上げた。それは牛頭天王の面であったことからこの地は天王洲と呼ばれる様になったという。1798年には一匹の鯨が打ち上げられ、それを祀る鯨塚が現在も残されている。その後、黒船に対する海防強化のため第四台場として埋め立てられた天王洲は、海から地へと拡張された。現在、羽田空港新飛行ルートとして会場の頭上450mを航空機が通過している。
太平洋の彼方にいる一匹の鯨の鳴き声から、頭上の航空機が発する轟音まで、繰り返される音がもたらすものとは。海の向こうからやってくる何かによって空間のレイヤーを変容させてきたこの地で、その起源を考察し未来の音を発してみよう。

スクリプカリウ落合安奈(すくりぷかりうおちあい あな)

ー鎖国と国際結婚から見る、帰属意識の姿ー
本作は、2019 年にベトナムのホイアンから始まった、3部作とも言える一連のビデオインスタレーションの第3章に当たる。
2019年ベトナムにて、江戸時代に「鎖国政策」に翻弄されながら異国の地で永い眠りについた、ある1人の日本人の墓と出会った。墓は、日本の方角に向けて建てられている。また墓の主は、鎖国政策によりベトナムのフィアンセとの仲を引き裂かれたものの、海を越えて会いに行く姿が言い伝えとして残されている。1つの墓の存在から、国策や、時に人々を隔てる境界を越えていく個人の想いについて考えさせられる。
ホイアンはかつて日本人街があり、日本による 様々な研究も行われていたが、彼については僅かな情報としての伝説が複数あるということに留まり、正確な足取りを掴むことは困難を極めた。そんな中、墓に刻まれていた情報を頼りに、墓の眼差しの先にある彼の生まれ故郷の長崎の平戸を訪れる。すると、「鎖国と国際結婚」、「隔たりを生むものと、それを越えてゆくもの」を象徴する様々なものとこの土地を通じて出会っていくことになった。時代を超えて浮かび上がってくるものを、映像とサウンド作品として発表する。

持田敦子(もちだ あつこ)

仮設的な素材を用いた階段作品で空間を埋め尽くす。鑑賞者は実際に階段に登ることができる。階段は何か所も分岐点があり、立体状の迷路のようになる。階段の上を歩くことで、空間を新たな視点から捉えることができる。作り、分解し、また作り直すことができる階段を使い、できる限り多くのルートを空間上に設定し、選択肢を提示する。階段は2013年より何度も手がけてきた私にとって重要なモチーフである。足を一歩あげるという単純な行為、そしてその足を受け止める台、その組み合わせで空間をどこまでも探求していくことができる。

山内祥太(やまうち しょうた)

人間とテクノロジーの恋愛模様をパフォーマンス・インスタレーションとして描き出す。
両者をつなぐピンク色のケーブルは互いの匂いを交換するための装置である。
人間とテクノロジーは匂いを交換することで互いの考えていることがわかるようになるが、テクノロジーは度を越して人間の匂いを求めるようになる。
人間がテクノロジー依存症であると同時にテクノロジーもまた人間依存症なのである。
テクノロジーを愛しながら、人間も愛するためにはどうしたらいいのか。
快楽と絶望の中間領域を見つけ出し、現在生きる我々人間の性に投影したい。

【二次選考を終えた最終審査員からのコメント】(五十音順・敬称略)

片岡真実(森美術館 館長、国際芸術祭「あいち2022」 芸術監督)
コンセプトやリサーチ・トピックに見る複雑さや複層性に対して、最終的な展示案から想像される体験の説得力が脆弱、という構図が全体的に顕著だった。アイディアを視覚的、構造的、空間的なアウトプットへと明快に転換するスキルは、TERRADA ART AWARD 2021が目指すグローバルな舞台では確実に求められるものだが、その意味でファイナリスト5名の提案は、異なる関心事を固有の表現方法によって質の高い芸術作品へと昇華することが期待できるものだったといえるだろう。

金島隆弘(ACKプログラムディレクター、京都芸術大学客員教授)
寺田倉庫が現在取り組んでいるアート事業を有機的に繋ぎながら一新されたTERRADA ART AWARD 2021には、実に数多くの応募がありました。「前例は、あなたが創る」のテーマに相応しいユニークな提案も多く、二次選考に進んだアーティストからファイナリストを絞る作業も困難を極めました。応募作品のレベルの高さも理由の一つですが、最終審査員の現代アートに対する多様な視点、今の時代の中での現代アートのあり方の変化もその要因であり、このAWARDの審査への参加を通じて、改めてその状況を肌で感じることができた機会にもなりました。ファイナリストに選ばれた5名は、寺田倉庫内の空間での展示を想定したそれぞれのプランの実現に向けて、これから準備に取り組むことになりますが、制作する作品が、技術や説明、コンセプトを飛び越え、圧倒的な表現として鑑賞者を取り込んでしまうような、そんなチャレンジを期待したいです。

寺瀬由紀(アートインテリジェンスグローバル ファウンディングパートナー)
未曾有の事態の真っただ中にいる2021年、誰も想像もしていなかった非現実の現実をわれわれは生きています。人も物の物理的な動きも以前よりずっとスローダウンしているはずなのに、毎日朝から晩まであふれ出す情報の洪水から水面に這いあがろうともがく不思議な日々。私自身も一時帰国もままならない中、今回のAWARDの審査はそういった世界の変化に繊細に反応しているアーティストの皆さんと応募書類を通じて対話をしているような感覚に陥りました。私は日本を出てだいぶ経ちますが、現在日本国内では過去になかったレベルで現代美術への関心が高まっていると聞き、今回のAWARDもそれを反映する応募数があったと伺っています。関心が高まっていることは喜ばしいことですが、それが一過性のブームではなく、継続していくよう、われわれもアーティストの皆さんも一緒に協力共闘共存していかなければなりません。そんな強い決意と願いを込めて。このAWARDが息の長い、才能を導くプラットフォームとなりますように。

真鍋大度(Rhizomatiks ファウンダー、アーティスト、DJ)
今回の応募では非常にバラエティー豊かな作品が揃い、現代アートという一つの枠で括ることの限界を感じると同時にフォーマットやメディアの多様性が生み出す混沌を観察することが出来た。一方で最終的に残った作品はインスタレーション作品が多く、審査や作品の傾向を一つ垣間見ることが出来たのではないだろうか。審査員によってさまざまではあるが、私は以下の様なことをクライテリアとして審査、評価に当たったことを記しておく。コンセプトが明確・明瞭か、好奇心がどこに向かっているか、作品が持つ社会的・政治的な意味はあるか、作品が持つインパクトがあるか、活動がユニークか、未来を切り開くポテンシャルがあるか、技術・クラフトのチャレンジがあるか、そして作家が表現を探究しているかどうか。この様に複数のベクトルで作品を審査したが、甲乙付け難い作品が並び最終審査に僅差で残った作品も多い。応募された作家は審査の結果に左右されずこれまで通り鋭意制作して欲しい。

鷲田めるろ(十和田市現代美術館 館長)
川内は身体性を感じさせるドローイングとネオン管などによる空間への広がりが面白く、自分の関心に沿って作品を積み重ねてきた安定感を感じる。久保は、東京都現代美術館で見た地震の揺れと音の振動を関係づける体感的な作品に惹かれた。今回も天王洲の場所に合わせた提案に期待。移動や距離を扱う落合は、自らのアイデンティティとも関係するような作品で、カーテンに海の映像を投影する展示のスマートさも魅力。持田は、既存の建物への大掛かりな介入が破格だが、今回、展示空間でどこまで面白く見せられるか。山内は映像技術を使った身体イメージの拡張をインスタレーションでうまく伝えられるか。多様性に富むセレクションになったと自負している。

【TERRADA ART AWARD 2021概要】

名  称:TERRADA ART AWARD 2021
対象活動:絵画または平面、彫刻など立体、インスタレーション、映像、写真、パフォーマンスなど身体表現、音または音楽、など全ての媒体を含む現代アート作品全般
支援内容:ファイナリスト5組に各300万円※ファイナリストによる展覧会(ファイナリスト展)における展示 および新作制作・展示の費用を含む
オーディエンス賞1組に100万円(ファイナリスト5組から選出)
副  賞:「ルイナール ブラン・ド・ブラン」(1500ml)、PIGMENT TOKYO取り扱いの商品10万円分、WHAT CAFEでの展示・販売機会、当社美術品保管サービス1年間の無料利用
主  催:寺田倉庫株式会社
協  賛:日本航空株式会社、MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
協  力:アンダーズ 東京、グランド ハイアット 東京
U    R    L:https://www.terradaartaward.com

【一次選考委員について】(五十音順・敬称略)

飯田志保子(キュレーター、国際芸術祭「あいち2022」チーフ・キュレーター(学芸統括))
小川希(Art Center Ongoing 代表)
高橋瑞木(CHAT, Centre for Heritage, Arts and Textile エグゼクティブディレクター兼チーフキュレーター)
高橋龍太郎(精神科医、現代アートコレクター)
現代アートチーム 目[mé](アーティスト 荒神明香、ディレクター 南川憲二、インストーラー 増井宏文)
森司(公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 事業推進室事業調整課長、女子美術大学芸術学部アート・デザイン表現学科アートプロデュース表現領域 特別招聘教授)
山本憲資(Sumally Founder & CEO)

一次選考委員のコメントについては、全文を公式サイト(https://www.terradaartaward.com)で紹介しています。

【アウォードに関するお問い合わせ先】

寺田倉庫 TERRADA ART AWARD事務局 E-MAIL: award@terrada.co.jp

寺田倉庫

社 名:寺田倉庫株式会社(Warehouse TERRADA)
代表者:代表取締役社長 寺田航平
所在地:〒140-0002 東京都品川区東品川2-6-10
設    立:1950年10月
U  R  L:https://www.terrada.co.jp

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