寺田倉庫の「TERRADA ART AWARD 2021」、 ファイナリストへ授与する審査員賞が決定

寺⽥倉庫株式会社(東京都品川区 代表取締役社長:寺田航平)が主催する現代アートアウォード「TERRADA ART AWARD 2021」において、最終審査員の片岡真実氏、金島隆弘氏、寺瀬由紀氏、真鍋大度氏、鷲田めるろ氏からファイナリスト5組へ授与する各審査員賞が決定しましたのでお知らせいたします。

各審査員賞の内容およびファイナリスト5組の作品は、2021年12月10日(金)~12月23日(木)の期間に当社イベントスペースで開催する「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」で披露します。2021年8月にファイナリスト5組が決定し、ファイナリストは、これまでの期間、エントリーした展示プランをもとに、平面作品・立体・サウンド・インスタレーション・映像・パフォーマンスなど多岐に渡る作品を制作してきました。倉庫をリノベーションしたアーティストの世界観・才能を開花させる空間を舞台に、5組のアーティストが作り上げた新作を含む作品群が一堂に会する独自の展示をご覧ください。また「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」会期中には、広く一般の方にも参加いただき、会場およびオンラインによる一般投票を通して、オーディエンス賞1組(賞金100万円)を選出いたします。

「TERRADA ART AWARD 2021」は、当社の芸術文化発信事業の一環として、現代アートにおける優れたアーティストの発掘と新進アーティストの支援を目的としたアウォードです。2020年12月に開催を発表し、2カ月という応募期間にもかかわらず、国内外1,346組からの応募がありました。世界のアートシーンでプレゼンスを発揮できる才能を見出すため、国際的な舞台で活躍し現代アートに深い見識を持つ方々を審査員へ招き、1次選考から2次選考へは50組のアーティストが進み、さらに最終審査員による選考の結果、5組のファイナリストが選出されました。ファイナリストにはそれぞれ、「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」での発表の機会をはじめ、副賞として本アウォードの協賛パートナーであるMHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社より「ルイナール ブラン・ド・ブラン(1,500ml)」が贈呈されるとともに、当社が運営する画材ラボ「PIGMENT TOKYO」の商品10万円分、アートギャラリーカフェ「WHAT CAFE」での展示・販売機会、当社美術品保管サービスの1年間無料利用などが提供されました。当社は本アウォードの開催を通じて、いつの時代にも存在する「一握りの天才」を⾒出し、受賞者がアーティストとして世界に羽ばたくまでのキャリアを全力で支援・育成し、日本の現代アートの価値を未来へ継承してまいります。

Photo by Haruo Wanibe

片岡真実賞:持田敦子(もちだ あつこ)

(c) Artwork by Atsuko Mochida, Photo by Tatsuyuki Tayama

持田敦子は、都市景観の一部でもある工事現場の単管パイプと木材で、行き先の不確定な、いわば無用の螺旋階段をインスタレーションとして構成した。とりわけ3D曲げパイプによる構造は工業素材を立体作品へと転換させるための中心的役割を果たしている。彼女がこれまで既存の建築物に介入してきた仕事は、1970年代に家を切断したゴードン・マッタ=クラークを連想させるが、今回の寺田倉庫の空間では、周囲のコンクリート壁や配管などとも一体化し、収納された倉庫内で成長し続ける有機的な螺旋階段となった。芸術をオンラインで体験することの可能性と限界も見えてきたこの時期、空間に果敢に挑戦した持田の作品は、その不確実性や非生産性も含めて、今日的体験をもたらすだろう。
(片岡真実/森美術館 館長、国際芸術祭「あいち2022」 芸術監督)

このたび、片岡真実賞をいただくことになり、大変光栄に思います。今回の作品は私にとって新たな手法を用いたこともあり、難しい場面も多々ありましたが、展覧会のオープンまでこぎつけられてほっとしています。ぜひ多くの方に、足元や頭上に注意を払いながら、作品鑑賞を楽しんでいただきたいと思います。
今回の作品制作で、設計だけでなく現場を取り仕切っていただいたdot architects土井亘さん、鉄加工から施工まで、いつも楽しみながら現場を盛り上げてくださったAtelier Tuaregの皆さん、イレギュラーな注文にもフレキシブルに対応していただいた株式会社スタックさん、そしてさまざまな面で制作をサポートしてくださった一般財団法人おおさか創造千島財団の方々に改めて感謝を申し上げます。(持田敦子)

金島隆弘賞:山内祥太(やまうち しょうた)

(c) Artwork by Shota Yamauchi, Photo by Tatsuyuki Tayama

歳を重ねるごとに複雑化するテクノロジーに対峙しながら生きてきた私達の世代にとって、今の時代を支配するテクノロジーと冷静に向き合い、客観的に作品に取り込む姿勢を、デジタルネイティブと括られる世代から感じられたのは、とても新鮮な体験でした。
テクノロジーを依存症という視点で作品に持ち込むだけでなく、最先端の素材を扱う技術力、さまざまな世代のパフォーマー、そしてせめぎ合う人間の複雑な感情を組み合わせながら、絶妙なバランスで成り立つ本作にはただただ圧倒され、そしてシュールに舞うゴリラの儚さに目を奪われました。
今回一新されたアウォードで選ばれた5名のファイナリストの作品が一堂に会する本展は、今の時代の多様な表現と、次の世代の勢いを感じられる貴重な機会となりましたが、個性溢れる展示が並ぶなか、私の賞を山内祥太さんにお渡しできたことをうれしく思います。(金島隆弘/ACKプログラムディレクター、京都芸術大学客員教授)

このたびは金島隆弘賞を受賞させていただきありがとうございました。まずは、今回の制作に関わってくれたプログラマーの曽根さんをはじめ、制作チームにお礼が言いたいです。本当にありがとうございました。今僕は新たな景色の目の前に立ち尽くしています。
今回初めて自作を説明するにあたって「愛」という言葉を用いました。最初は後ろめたい気持ちがありました。僕なんかが「愛」なんて言ってもよいのだろうかと。
だけど、詩を書いているうちにあらゆる活動、あらゆる行為が全て「愛」や「人間」についての問いに接続されていくのではないかということに気づきました。テクノロジーを愛しながら人間を愛するためにはどうしたらいいのか。今後もしばらくこの問いかけを続けていきたいです。(山内祥太)

寺瀬由紀賞:川内理香子(かわうち りかこ)

(c) Artwork by Rikako Kawauchi, Photo by Tatsuyuki Tayama

川内理香子は線を引き、交え、重ね、引き離し、自己の思考や観点を表現する。それは紙やキャンバスの二元性を超えて、近年ではネオン菅や針金という立体性をも巻き込みながら有機的に対話をし、最終的に目に見えない線で互いを巻き込み合い、つながる。川内はそれら一つ一つの作品とまるでボクシングをするように向き合い、衝動性と無意識の間で制作していく。今回、一つの統一された空間の中で「世界」を作り出すTERRADA ART AWARD 2021ファイナリスト展での展示方法は、川内にとって初めての試みとのことだが、今後の作家の制作活動において重要な意味を持つように思う。川内が長年テーマとしている自己と他者、内と外、精神と肉体の対立軸は、アンビバレントでありながら常に対話を持つことで互いの存在を認識しているからだ。川内から紡ぎ出される線の集合体が、ダイアログを持つ術を見つけたことで、今後どのような展開を見せるのか、ますます楽しみである。(寺瀬由紀/アートインテリジェンスグローバル ファウンディングパートナー)

今回、展示する機会をいただき、また賞もいただくことができてとてもうれしく思います。床の色を染め、展示空間全体で1つの絵画を作り上げる新しいチャレンジを経て、さまざまな気づきが自分の中でありました。イメージを実現化する時、そこにはイメージの上では予期しないものが必ず出てきます。それをどう拾い上げていくかで、作品はより息づくものになると思います。今回の展示を実現する中で、また実現した上で出会えたものを、次の自分の制作へと還元させたいです。
寺瀬さんをはじめ審査員の方々とのお話も勉強になり、応募する資料作りから始まり、作品制作、展示、審査会と、本アウォードを通じて自分の作品を内からも外からも、より理解を深めていく、充実した時間を過ごせました。ありがとうございました。(川内理香子)

真鍋大度賞:久保ガエタン(くぼ がえたん)

(c) Artwork by Gaёtan Kubo, Photo by Tatsuyuki Tayama

久保は初期衝動をきっかけに情報探索の旅をスタートし偶然やノイズを巧妙に取り入れ、注意深く取捨選択を重ねながら連鎖的にリサーチのスコープを変更し、最適化では作り出せない探索経路を経て物語を作り出す。物語は展示空間内外に設置されたさまざまな装置に分解、展開されることによって、鑑賞者はさまざまな視点で作品を鑑賞し、関係性を読み解くことが要求されるが、複雑なネットワークが作り出す高次元の情報を身体が認知できる状態に低次元化し、鑑賞可能な作品に変換している点は見事としか言いようがない。本プロジェクトのためだけに入念なリサーチを行い、高度な実装を伴う野心的な挑戦を実現した久保の今後の活動に期待を込めて賞を与えた。(真鍋大度/Rhizomatiks ファウンダー、アーティスト、DJ)

大賞のみが賞金を得る公募展とは違い、本アワォードではファイナリストそれぞれに平等の予算とスペースが得られたことで、思い切り制作をすることができました。また「天王洲の海で音楽を流して鯨を呼ぶ」という、一見理解を得られないようなプランにもかかわらず、寺田倉庫の強みである天王洲の地盤の強さと、アート専門の協力会社のサポートで、場所を活かした会場内外での発表を実現することができました。本受賞によって真鍋さんと作家の視点によるトークを通して、作品を作ることの本質を導き出してもらうことができ、すでに次の作品を作りたくなっています!(久保ガエタン)

鷲田めるろ賞:スクリプカリウ落合安奈(すくりぷかりうおちあい あな)

(c) Artwork by Ana Scripcariu-Ochiai, Photo by Tatsuyuki Tayama

人と人を分断しつつもつなぐ海という境界線をテーマにした映像インスタレーション。展示空間への入り口には、開かれたカーテンの向こうに、海の中に小さく写る人物を撮ったモノクロ写真があり、没入感のある作品世界への期待を高める。映像のスクリーンとして、建物の内と外を繋ぎながら風に揺れるカーテンを効果的に用い、映像の中の波と、上映装置を繋ぐことに成功している。円形に弧を描くカーテンにはベトナムの、反対の壁面には平戸の映像が向き合うように現れ、見る人も取り囲まれるように、その二つの引き裂かれた世界の中間に身を置くことになる。自らのアイデンティティを問うことを起点としながら、普遍的なテーマに昇華している。(鷲田めるろ/十和田市現代美術館 館長)

このたびは、「TERRADA ART AWARD 2021」にて鷲田めるろ賞をいただき、大変光栄に思います。本作は、2019年にベトナムのホイアンで江戸時代の日本人の墓に出会ったことからビデオインスタレーション作品の第一章が生まれました。審査では、第一章から、最終章となる今回の第三章までの流れについても注目していただき嬉しく思いました。
また本アワォードの手厚いご支援のおかげで、今回はこれまでの作品の中でも最大規模のプロジェクトに挑戦することができました。さまざまなプロフェッショナルの方々の力をお借りし、新たな取り組みとしてサラウンドのサウンド表現と、演劇性のある時間軸を持ったインスタレーションを生み出すことができました。今回の貴重な経験を糧に、これからも「リアリティー」を追求した新たな表現に取り組んでまいります。(スクリプカリウ落合安奈)

【TERRADA ART AWARD 2021ファイナリスト展 開催概要】

展覧会名:TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展
会     期:2021年12 月10日(金)~2021年12月23日(木)
会     場:寺田倉庫 G3-6F(〒140-0002東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号)
開館時間:11:00~19:00(最終入館 18:30)
入  場  料:無料 ※日時指定予約制
アクセス:東京モノレール羽田空港線天王洲アイル駅中央口 徒歩5分、東京臨海高速鉄道りんかい線天王洲アイル駅B出口 徒歩4分
入場予約:https://www.terradaartaward.com/finalist

■オーディエンス賞オンライン投票
実施期間:2021年12月18日(土)~12月31日(金)(予定)
方  法:公式サイト(https://www.terradaartaward.com)より投票ページにアクセスできます

【TERRADA ART AWARD 2021概要】

名  称:TERRADA ART AWARD 2021
対象活動:絵画または平面、彫刻など立体、インスタレーション、映像、写真、パフォーマンスなど身体表現、
音または音楽、など全ての媒体を含む現代アート作品全般
支援内容:ファイナリスト5組に各300万円 ※ファイナリスト展における新作制作・展示の費用を含む
オーディエンス賞1組に100万円(ファイナリスト5組から選出)
副    賞 : 「ルイナール ブラン・ド・ブラン」(1,500ml)、PIGMENT TOKYOの取扱商品10万円分、
WHAT CAFEでの展示・販売機会、当社美術品保管サービス1年間の無料利用
主  催:寺田倉庫株式会社
協  賛:日本航空株式会社、MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
協  力:アンダーズ 東京、グランド ハイアット 東京

【一次選考委員について】(五十音順・敬称略)

飯田志保子(キュレーター、国際芸術祭「あいち2022」チーフ・キュレーター(学芸統括))
小川希(Art Center Ongoing 代表)
高橋瑞木(CHAT, Centre for Heritage, Arts and Textile エグゼクティブディレクター兼チーフキュレーター)
高橋龍太郎(精神科医、現代アートコレクター)
現代アートチーム 目[mé](アーティスト 荒神明香、ディレクター 南川憲二、インストーラー 増井宏文)
森司(公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 事業推進室事業調整課長、女子美術大学芸術学部アート・デザイン表現学科アートプロデュース表現領域 特別招聘教授)
山本憲資(Sumally Founder & CEO)

【最終審査員について】(五十音順・敬称略)

片岡真実(森美術館 館長、国際芸術祭「あいち2022」 芸術監督)
金島隆弘(ACKプログラムディレクター、京都芸術大学客員教授)
寺瀬由紀(アートインテリジェンスグローバル ファウンディングパートナー)
真鍋大度(Rhizomatiks ファウンダー、アーティスト、DJ)
鷲田めるろ(十和田市現代美術館 館長)

【アウォードに関するお問い合わせ先】

寺田倉庫 TERRADA ART AWARD事務局 E-MAIL: award@terrada.co.jp

寺田倉庫

社 名:寺田倉庫株式会社(Warehouse TERRADA)
代表者:代表取締役社長 寺田航平
所在地:〒140-0002 東京都品川区東品川2-6-10
設    立:1950年10月
U  R  L:https://www.terrada.co.jp

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