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ART2018.8.7

フジタの新しい顔が見える回顧展

「没後50年 藤田嗣治展」

【4WEB】《エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像》

80年を超える長い人生の半分をフランスで過ごし、今もその地に眠る藤田嗣治。2018年は彼の没後50年というアニバーサリーイヤーだ。それを記念してこれまでにない規模の個展が開かれている。

【6S】《猫》興味深いのは初期の作品の数々。東京美術学校の卒業制作として描かれた最初の自画像や、第一世界大戦前夜のパリで描かれた絵画は後のフジタのスタイルとは少し違っている。彼が生涯に繰り返し描いた自画像は後に、おかっぱ頭に丸眼鏡という独特の風貌へと変化していく。異国で暮らす画家として成功を目指す彼は今でいうセルフ・ブランディングを強く意識していた。

展覧会には彼のアイコンともいえる「乳白色の裸婦」が国内外から10点以上も並ぶ。肌の柔らかさを感じさせる白い肌は最近の研究によってベビーパウダーを使ったことがわかっている。フジタは独自の画材によって他の画家にはなし得ない画面を作り出していたのだ。

太平洋戦争開戦の前年に帰国した彼はおかっぱ頭を丸刈りにして戦線取材や「作戦記録画」に邁進する。華やかで甘い画面は一転して、茶色に埋め尽くされたキャンバスに倒れる兵士が折り重なる陰惨なものへと変化した。が戦後になると国のために、と信じて取り組んだ戦争画の制作を糾弾され、彼は逃げるようにしてパリへと戻る。その後はフランス国籍を取得し、カトリックの洗礼を受け、二度と日本の土を踏むことはなかった。

この回顧展は100点以上の作品で彼のたどった道を振り返るもの。ヌード、兵士、子供、猫と多彩なモチーフを描き分けた彼の技巧を改めて目の当たりにすることができる。時代と絡み合い、翻弄された彼の自意識が画面ににじみ出るのを見ていくのもまた一興だ。フジタの絵にはいつも新しい発見がある。

(文・青野 尚子)

「没後50年 藤田嗣治展」
会期:2018年7月31日(火)~10月8日(月・祝)
会場:東京都美術館 東京都台東区上野公園8−36
時間:9時30分~17時30分(金~20時、8月中の金~21時、入室は閉室の30分前まで)月曜、9月18日、25日休(8月13日、9月17日、24日、10月1日、8日は開室)
入場料:一般1600円
問い合わせ:tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://foujita2018.jp

【画像・上】
藤田嗣治 《エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像》 1922年油彩、銀箔、金粉・カンヴァス
シカゴ美術館(アメリカ)蔵
© The Art Institute of Chicago / Art Resource, NY
© FondationFoujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

【画像・下】
藤田嗣治《争闘(猫)》 1940年油彩・カンヴァス
東京国立近代美術館蔵 
© FondationFoujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

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